蝸牛日記(Pseudomenos版)

嘘ばかりの日記です

ETV特集

昨夜は0時20分頃帰宅。ケーブルで放送が始まった「げんしけん」のラスト10分位を見る。原作に物凄く忠実な絵作り。
食事していると1時に。3チャネルのETV特集の再放送(オリジナル>ETV特集 9月4日(土))で「夜回り先生」こと水谷先生をとりあげていて、全部見てしまう。もんたま氏が少し前の日記で目の力のことを書いていたが、この先生の目も凄い目だった。
先生は夜学で教えている。そして授業の後は街に出てこどもたちに声をかけてまわる。夜の街に出てくるこどもは昼の街に居場所のないこどもだ。彼らの多くが心に深い傷を負っており、薬物に溺れ、暴力団に食い物にされている。先生はそんなこどもたちひとりひとりに声をかける。家に帰りなさい、危ないぞ、薬やってないか……。目をそらさない。声をあらげない。手をあげない。そしてあきらめない。
街に出てくることすらできないこどももいる。そういうこどもたちはリストカッタになることが多い。傷つけることで助けを求める。そんな声が毎日メールや電話で届く。それらを流すことなく先生は答えていく。
それは絶望的な状況に見える。先生の生活はおしよせる苦しみの声で埋め尽くされている。
助けることの出来なかったこどもたちを「わたしが殺した」と言い切る先生。あなたの所為ではない、と言われても、「でも彼らは死んでしまった」と答える。あまりにも真摯で妥協のない姿に、見ているこちらがたじろいでしまう。
ひとつひとつの言葉が静かに胸に刺さる。テレビを見ながら先生の姿が聖人、あるいは菩薩のように見えてくる。この人は人の苦しみを生きている。先生は深い深い闇の中をいく。ひとりでもそこに蹲るこどもがいる限り。あきらめることを許されていないのだ。胸に刺さる。本当に凄い人がいる。