蝸牛日記(Pseudomenos版)

嘘ばかりの日記です

ハガーマガーを守れ(ロバート・B・パーカー著、菊池光訳/早川書房)

★★★
スペンサーシリーズも最近静かになってきた。だいたい彼は幾つなんだ? 朝鮮戦争に従軍しているので、もう相当な歳のはずだ。それでこの活躍はないだろう。ここ数作に共通して、本作でもスーザンスーザンと始終彼女のことばかり考えている。まったく白人は元気だ。
スペンサーは南部の馬主から、自分の馬が狙撃されている旨、大切な馬「ハガーマガー」を守ってほしいという依頼を受ける。スーザンもホークもつれず、一人ジョージアへ向かうスペンサー。しかし捜査ははかどらず、こともあろうか肝心の依頼主が撃たれて死んでしまう。仕事もそこで区切りがつくのだが、死んだ依頼主の愛人から再調査の依頼が来る。
壊れた家族のそれぞれの思いが綾をなして、終末に向かうわけだが、最後の数パラグラフが素晴らしい。ハードボイルドらしい、余韻のある終り方だ。近作では一番締まったラスト。

ハガーマガーを守れ
ロバート・B. パーカー Robert B. Parker 菊池 光

早川書房
2000-12
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