蝸牛日記(Pseudomenos版)

嘘ばかりの日記です

胡蝶の鏡(篠田真由美・講談社ノベルス)

★★★
建築探偵シリーズもいよいよ佳境に。作者いわく第4コーナに差し掛かったということで、ゴールも間近。主人公桜井京介が昼間起きているわ飯は作るわ体は鍛えるわでびっくりな本書。舞台は京都からヴェトナム、そしてまた京都へ。蒼を中心としたここ数作だったが、京介を再度中心に据えてシリーズは進行するらしい。舞台がヴェトナムということで、西洋とアジアの様式が混じった建築物が次々と出てくるが、いまいちイメージがつかめず、自分とヴェトナムの距離を知る。ああ、でも、フォーがチラッと出てくるんだけど、食べたいなぁ、フォー。毎度おなじみサブテーマとなる今回の建築関係者は伊東忠太。しかしどことなく物足りない。シリーズ終盤ということで、京介の方にフォーカスが移っているんだろう、建築関係の濃さは今回は薄い。
春だということもあるのか、なんとなく『桜闇』を読み返したくなった。次作は来年というが、待ち遠しいなぁ。

胡蝶の鏡 (講談社ノベルス)

胡蝶の鏡 (講談社ノベルス)