蝸牛日記(Pseudomenos版)

嘘ばかりの日記です

一角獣の繭(篠田真由美/講談社ノベルス)

★★★
いよいよ物語りもクライマックスに近づいた、ということだが、本当にあと数冊でとりあえずの終止符というか線を引けるのだろうか? 年1冊のペースなので、通常の5割増くらいの量の作品が用意されているのだろうか? というメタな部分が気になる今日この頃、蒼もついに初恋ですよ、なんていうか、いや、“あること”をしなくてよかったw と思っている全国の蒼君ファンがどれだけいるか。長年つきあってきた一読者として、やはり蒼こと香澄君の成長に感慨無量。大きくなったなぁ。えらかったなぁ。
作者も十分に自覚してまたそう述べているが、すでに「建築探偵」という部分が相当に薄れて、京介、深春、香澄のビルドゥングス・ロマンとなっているわけだが、建築にこだわっていた初期作品のどんよりとした雰囲気も少し懐かしい。あと数作、物語のとりあえずの終着点を駆け抜けてもらい、また肩の力を抜いて建築にこだわったサイドストーリーでも書いてもらえると嬉しい。
しかし篠田真由美も、今回のヒロインのようなキャラクタが本当に好きだなぁと思うことしきり。アベラシオンの車椅子の少年を思い出したなりよ。

一角獣の繭  建築探偵桜井京介の事件簿 (講談社ノベルス)

一角獣の繭 建築探偵桜井京介の事件簿 (講談社ノベルス)