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本年最高の2冊。『魔女』でその能力を知っているつもりだったけれど、これだけの物語を、この密度と深さで描き続けられる才能は、ここ十年なりで唯一、最高のものだと思う。作家に例えれば池澤夏樹が近い気がするが、池澤よりももっと呪術の気配が濃く、時に残酷だ。この残酷さは、いわゆる人間の想念の残酷さではなくて、自然の持つ大きな力の残酷さ、自然を観察したときに人間がその現象を人間同士の関係に投影して感じるような、そういう残酷さだ。
ジュゴンに育てられた二人の少年、海と空。そして、海にひかれ、二人と親しくなる、琉花。湘南をモデルにした舞台で繰り広げられる冒険と神秘。いわゆる科学的に観測される世界、そして常識で捉えられる世界、そしてその世界に、もう一つ、人が見ることをしなくなってしまった世界が重なり、濃密な物語世界が生まれている。一見ラフに見える、シンプルなラインが美しい。続巻が来年刊行というのが待ち遠しい。今年必読の書、堂々の五つ星。
- 作者: 五十嵐大介
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2007/07/30
- メディア: コミック
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- 作者: 五十嵐大介
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2007/07/30
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