蝸牛日記(Pseudomenos版)

嘘ばかりの日記です

“文学少女”と死にたがりの道化(野村美月/ファミ通文庫)

★★半
中学在学中に美少女作家として図らずも一世を風靡してしまった上、恋人を亡くし深く心に傷を負った主人公心葉(このは・♂)、上等の小説を文字通り食して生きている“文学少女”遠子。たった二人の文芸部を中心とした学園ミステリシリーズ第一弾。同級生の女の子から、憧れの先輩への恋文の代筆を頼まれた心葉だが、回数を重ねるごと、次第に先輩の存在が怪しくなっていく。やがてその先輩が10年も昔に自殺していることが分かり...、といった展開。いささか甘い展開、というよりも、心葉の性格がちょっとやわくかつ大げさな感じで、もうすこし洗練されてもいい。本をちぎっては口に運び、物語の内容に沿った味覚を得てしまう変態つるぺた美少女の遠子は、逆に立った設定が生きていて楽しい。ほっそりしたスタイル、長い三つ編み(しかもツイン)、そして本を食べる奇行まで、狙いすぎだろう! と突っ込みつつもはまってしまう。シリーズ続編を読むか、と自分に問うても、今はまだ分からない感じ。軽いのは嫌いじゃないのだけど、キャラが自分に合わないのは、やっぱり引っかかるなぁ。