蝸牛日記(Pseudomenos版)

嘘ばかりの日記です

シンポジウム

東京大学創立130周年記念事業公開シンポジウム「アニメがみる未来〜コンテンツが切り拓く将来」と「成功するネットワークコミュニティデザインとは?」を聞いてきた。映画が終わってすぐ丸ノ内線に飛び乗って本郷三丁目まで。駅前で立ち食いそばで昼食にして、マクドナルドでコーヒーを飲みつつPCでメールチェック。その足で会場へ。本来ひとつのシンポジウムにしたかったということだったが、出資元が異なるとかそういう大人の事情で二つのシンポジウムに分けたとか。いずれにせよ二部構成で連続してくれたから特に困ることはなかった。
第一部は題名とは裏腹にアニメ色は薄く、研究内容についての話が充実していた。アニリール・セルカン氏の記念講演、「インフラフリーが拓く未来の社会と技術」が◎。講演も聞きやすいものだったが、その内容も環境循環型の住宅や、軌道エレベータ等々多義に渡っていてひさびさに知らない分野からの刺激を受けて満足。
続いて行われたパネルディスカッションは、パネリストの人数のわりに時間が短く、大変にまとまりなく残念な感じ。Willcomの近氏が職業、というよりも立場柄か非常に話しじょうず。他社にないユニークな製品を作ろうという活動についての話には頷くところが多かった。
パネルディスカッションなのにいきなり発表をはじめた渡邊淳司氏の知覚に関する研究、というか作品? が、大変に興味深い。両耳の後ろに電極を付け、電流を流すとプラスの電極の側に身体がふらつく。これを応用して外部にフロートに浮いた人形を用意、そこに電極につなげたスイッチを用意して、人形が傾くと電極に電流を流す装置を作る。これをもって歩くと、人形にあたえられた動きが、そのまま本人にも帰ってくるというもの。いわば感覚器官を体の外に持っていってしまったことになる。この装置を二人の被験者で交換して持つと、今度は他者に自分の感覚を委ねるというか、不思議なことになる。このように、知覚の境界をあいまいなものにして、知覚が必ずしも自分一人のものでないことを見せてくれる。義体などがすぐにイメージされて、その上で、自分が自分でないような、アイデンティティをゆるがすようなことがいろいろできるのだろうなと思った。
いまをときめく?東浩紀氏もパネリストで参加していたが、喋りたらず終わってしまった感じ。とにかく時間が少ない。プロダクションIGの藤咲氏も話がうまい。これもまた脚本家という職業柄だろうか。話が拡散してどこに向かうかわからなくなったままセッションは終了してしまった。司会の進行も難しいのだろうけれど、もう少し方向をコントロールしてもよかったのではないか。
30分の休憩の後に第二部。こちらは最初にパネリスト各位の会社と事業紹介が簡単にあり、その後はパネルディスカッション。セカンド・ライフ、daletto、MeetMeと、3Dの仮想空間を提供するサービスの現在と今後を探った。dalettoの稲船氏のコメント能力がずば抜けて高い。聞いていてちゃんと腑に落ちる話し方をされる。こういった能力が、仕事能力の高さを知らせてくれる。このパネルディスカッションはアスキーの福岡俊弘氏が司会をしており、巧みなコメントと話の振り方でうまく全体をコントロールしていた。こういうのも、編集能力だよなぁ。
午後の5時間、たっぷりと大学っぽい話を聞けて、大変に満足。いいなぁ。また大学行きたいなぁ。
シンポジウム終了後はさっさと帰宅。夕飯はたこ焼。たこ焼うまいよ。