蝸牛日記(Pseudomenos版)

嘘ばかりの日記です

Wired Vision連続トークセッション「コミュニケーションデザインの未来」第2回に参加してきました

グーグルがもたらした情報流通革命に対し、私たちはどう対応をすべきか、これからの日本の著作権や情報流通の制度設計はいかにあるべきなのかを、文化芸術にまつわる著作権に詳しい、骨董通り法律事務所の福井健策弁護士にお話しいただきます。

第一回(WIRED.jp)には悔しい事に参加出来なかったのですが、第二回には何とか参加出来ました。司会をされた仲俣暁生さんが直前に記したBlogより少々引用。

すべての本は潜在的に「電子化」「ネットワーク化」されることになる。あとは電子化された書籍コンテンツの利用を、著作権者がどのように管理し、そこからの収入をどのように誰が分配するか、ということだけが技術的な課題になる。

パラダイムシフトというものは、起こした側が圧倒的に有利である。日本は、来年から施行される新しい著作権法国立国会図書館への法定納本に電子化の義務を加えるという、いわばもっとも旧い「電子図書館」パラダイムでしか、この問題に対応できそうにない。でもグーグルは「著者」と「読者(検索者)」という、本の生態系におけるもっとも重要なステイクホルダーに圧倒的なサービスと便宜を提供することで、やすやすと図書館パラダイムを越えていくと思う。

電子書籍、電子出版には末端ながら長く薄く関わっていて、遡れば大学の頃から興味を持ち続けているのですが、ここへ来てGoogleブック検索の訴訟が和解した事から一気に情勢が変わったという認識を持っています。少々大げさに言うのであれば、かつてグーテンベルグが開発した印刷技術が、聖書(権威)を修道院から民衆へ解放する端緒となったように(そしてその技術の周辺で、ヨーロッパ世界は相当な混乱と社会的な変革の波に巻き込まれるように)、Googleが手に入れた書籍デジタル化の許諾は、大きく出版業界を変える可能性を持っていると思います。
今回のセミナの司会者である仲俣暁生さんのBlog(海難記)はここの所、このGoogleブック検索関係の記事満載で実に読みであります。この状況下で出版社が著者に対して何を提示出来るのか、また、読者に対して何を提示出来るのかという意味で、出版社こそが問いを突きつけられているという現状把握が大変に面白く、納得しました。
この件、著者は実はあまり損する所が無かったりします。むしろ現状の出版社の書籍の取り扱いかた、ひいては著者との関係こそが見直されるべきと氏は主張します。著作権を抱えたまま絶版扱いにしたり、広告など売る努力は最初の数ヶ月だけで後は放置、多品目を出版しつつそのほとんどが埋没していく現状に対して、Googleブック検索は常に開かれています。それを魅力的に思う著者は少なくないはず。
などというような事前の情報やら興味関心がありまして。直前に仕事で事故が起きかけたり、ヒヤヒヤしましたが、定時の10分前に到着できました。会場は8割程度の入り、先日のJEPAのセミナに比べると少ないですが、客層や雰囲気が何となく柔らかいのは主催がWiredだからでしょうか。前から2番目一番左に席を陣取りました。隣の通路でASCIIの遠藤さんがXactiを三脚に付けて撮影をしていました(あれ、どこかで公開されるのだろうか。全部は無理だろうけど、部分的にも公開してくれないかなぁ)。さらにその隣は書記席らしい雰囲気。女性二人がノートPCを開いて臨戦態勢でした。
定時からスタート、仲俣さんの柔らかな雰囲気のトークに対して福井弁護士はとにかく話すスピードが速い。そしてよくまとまっています。淀まず的確に述べたい事を述べて行く感じ。頭の回転が速い人は凄いなぁ。せっせとMacBookでメモを取っていましたが、話が早く、まとめながらのメモのつもりでいたのですぐに頓挫しました。会場にメディアジャーナリストの津田大介さんがいらして、twitterで中継をしているというので、すぐにFollowです。津田さんもまた的確に発言をまとめられて、自分に足りないのはこのスピードと要約の能力だなぁと凹みましたw
というわけで、@tsuda ポストをまとめてあります>Tumblr