蝸牛日記(Pseudomenos版)

嘘ばかりの日記です

長い一日

出発

9時ごろ起床、晴天、朝食を摂り荷を背負って出発。父を連れてアメリカへ行くのだ。横浜のドスパラでSDカードを買いたかったのだが、開店12時からというのでSomapへ。10分ほど待って11時の開店一番に入店、2GBで2680円なりのカードを購入。代々木へ湘南新宿ライナで向かう。途中さえかからメール。10時着の約束なのにまだ着かぬと代々木から電話があったという。あれ、そうだったかな? 13時くらいに出発できれば十分間に合うはずなのだが、少し慌てて進む。葉山に出発したかったという弁であったが、到着後にお昼を摂っており、けっこうのんびりしているじゃんと思ったり。昼食は電車の中でスタバのサーモンサンドウィッチを食べてきたので辞退した。だいたいまた寿司。太るよ。
13時過ぎ代々木発。車にて成田へ。運転するも眠気が強く、幕張にて休憩。ガムとCola Zeroを買って再出発する。成田14時半着。荷物を預けてチケットを受け取る。スタバにてお茶をしつつ出発時間を待つ。なんでもビジネスクラスの利用なので、さくらラウンジなるラウンジを利用できるらしいが、それは税関の向こうなので、義母が入れない。この間に旅行保険に入っておく。
16時、ゲートをくぐりラウンジへ。義母とはゲートで別れる。父は割とそっけなく、車椅子で運ばれていく。ラウンジでは飲み物、食べものがフリーだという。既に多くの人で席が埋まっており、並んで半分ずつ開いていた席で相席を頼んだらば、席を譲って頂いてしまった。大変に助かる。新聞を読む父。隣はドイツ人と思しき夫婦で、物凄い勢いでおつまみのせんべいを消費している。食べてはおかわりするのだが、物凄く太っているし、見ていてなんとなくみっともない。17時半のフライトだったので、17時10分前くらいに職員が迎えに来る。父が車椅子なので、プッシャと英語では言うらしいが係の人が付くのだ。そのまま機内まで連れて行ってくれる。他の客よりも優先されるのでなんとなく申し訳ないような気分。とにかく非常に楽だ。

テイクオフ〜夕食

予定より5分早いフライトで、実にスムースな離陸。天候も良い。上空に登って割とすぐ夕食が出るのだが、これが洋食と和食とで選択できる。洋食の肉がうまそうだったが、カロリーを考慮して和食にする。和食も実に豪華。メニュは

  • 前菜
    • 海老艶煮
    • 鱧おとしとじゅんさい美味ゼリーがけ
    • 小芋雲丹焼き
    • 鱈子昆布
    • 小鮎南蛮
    • 翡翠梅ゼリーがけ
  • 向附
    • 水晶尾羽雪辛子酢味噌がけ
  • 小鉢
    • ほうれん草と鶏皮胡麻和え
  • 台の物
    • 穴子湯葉がけと茄子そぼろ味噌田楽
  • ご飯、香の物、味噌汁
  • 季節のフルーツ(メロン、リンゴ、ブドウ)
  • コーヒー

という豪華絢爛な内容だ。前菜でもう十分にも思う。さてはて、まずアペリティフにシャンパンを、食虫には日本酒を頂いた。どちらも少しずつだけ飲んであとは残したが、もらわないのはなお寂しい。食事も少し残したが、これでいいのだ。
窓外は美しいグラデーションを描きながら、あっという間に闇になってしまった。東へ東へと時間を圧縮しながらの夜のフライトである。ちなみに航路(空路)は成田から北東へ向かい、アリューシャン列島の上をかすめて北米に入るコース。食後は本でも読んで寝てしまうと、あっというまに朝が来て到着、ということになるコースだ。飛行機は高度11000mを時速約1100kmで飛行するのだが、あまりに非現実的な数字で想像にあまる。さらに地球は逆方向に回っているわけで、相対速度はどのようなことになっているのか、とんでもない状態なのである。
日本時間で20時05分頃、この先7、8分飛行機がゆれるとのアナウンス。先行機からの情報という。そういうこともやり取りしているかと考えれば当然ではあるのだが、妙に感心してしまった。でもゆれてほしくはないなぁ。10分後あまりゆれることなくシートベルト着用のサインが消える。父がトイレに行く。ついでに僕もトイレに行きたいのだが、食器が邪魔で立てない。機内にはいろいろな人がいる。食事も摂らずにもくもくと書類をPCで用意するお兄さん。MacBookProのフルサイズを広げているおじさん。なにかビジネスクラスは余裕がありすぎて落ち着かない。食事が済んで、だんだんと消灯されていく。短いが夜の時間だ。

短い夜〜朝

問題はその夜の異常な短さだった。時差を圧縮して飛んでいるのだから当たり前なのだが、夜は3時間くらいしかない。夕食を摂って「夜」になり、あっという間に朝食が出る。父は眠ることが出来ず、終いには映画を見たが、途中で止めてしまった。斜め向こうのお兄さんのラップトップの明かりが気になるといって、眠れなくなってしまったのだ。一度何かを気にするととことん気になる神経質な父である。アイマスクを二枚重ねても駄目だった。単に気持ちの問題なのだ。しかし、朝食が出た時点で日本時間午前0時30分だから、夜の真っ只中なのである。これから眠ったっていい時間だ。僕にとっても、病気のことがあるので、このタイミングでの食事はきついし、寝不足だって堪える。しかし朝食を摂らないのも悔しいので半分くらい食べて残した。朝食のメニュは

  • 鮃柚庵焼き
  • 白御飯と小芋そぼろ煮
  • ぜんまいの旨煮
  • 香の物
  • フレッシュフルーツ(パインナップル、メロン、オレンジ、キウイ)
  • 緑茶
  • トマトジュース

...おいしいんだけどね。

アメリカ上陸〜ギルロイまで

朝食後ほどなく飛行機は降下をはじめ、現地時間10時過ぎにはサンフランシスコに降りた。車椅子での降機となるので、他の乗客が降りるまで待ってほしいといわれる。さまざまな人種のさまざまな人たちが列をなして降りてゆくのを眺めて待つ。体の大きなインド人を見て父が嘆息する。サンフランシスコでの車椅子の係はおそらくはフィリピン人の小柄なおばちゃん。小さな体できびきびと働く。エグゼクティブクラスの特権かわからないが、ちゃちゃっと税関を抜けて外へ。ゲートの向こうには妹とその旦那が待っていてくれた。迎えの車は新しく買ったばかりのMazda5(プレマシー、中古だがきれい)で、天井が高く乗り降りが楽でいい。良く晴れた日で、空気が乾いていて気持ちいい。ハイウェイを時速80マイルで飛ばす。AdobeやSun Micro Systemsなどの社屋を見ながらギルロイへ。興味深いことに刈るふぉる煮アでは夏に草木が枯れる。冬が一番みどりが青々としているのだという。季節は今夏に向かっており、山が丸々枯葉色なのが面白い。さらに、山に殆ど木が生えていない。どこまでも草の海である。西側の斜面には木が生えているが、東と南の斜面は草地で全て枯れて乾いている。あとで聞いた話だが、土地の価値が高いのはやはり木が繁ってみどり豊かな土地なのだそうだ。出口付近にて事故あり、少々渋滞。周囲を走っている車はさすがアメリカ、アメ車だらけ。当たり前だ! 車体のでかいピックアップトラックがかなり多い。周囲の風景は粗雑というかまばら、vacantという感じがする。人の手は入っているのに、手入れされていないような、わびしいというのでなくて粗雑という感じが一番近い。ギルロイの町に入り、ラティーノの店で果物を買って帰る。果物も野菜もみな大きく、種類も豊富でしかも安い。しかしこの店にはまず白人は来ないとか。地域ごとに生活する人種が異なり、それぞれのテリトリーがあるみたい。

[昼食]トマトと海老と赤カブのサラダ、スイカとネクタリン

今日二度目の昼食。妹が用意してくれた。さっぱりとしておいしかったが、主食と副食がちゃんと無いと納得しない父は、どう思っていただろう? 食後しばらくして、我慢しきれなくなり昼寝。おきてから妹のPCを借りて職場と家にメール。世界中どこにいても仕事のメールが読めるなんて...。なんて...。

夕食

夕食はラムのシチューとWheatbackのポーリッジ。ロシアの麦飯といったところだが、麦茶の麦の味に近く、癖はあるがおいしい。体に非常に良いのだとか。ケーブルテレビの紹介などされつつ、そのケーブルテレビの番組をネット経由でPCに送るシステムがあって、どこにいても見たい番組が見られて便利なんだって。ストリーミング技術の流用だけど、こういうのも面白い。むしろ、TVの方が、ネットストリーミングされてる動画を見られるようセットされてる、という感じなんだろう。実際セットボックスは、ふつうの小型PCに見えた(Xboxみたいに)。妹の旦那は技術屋だけあってPCなどもそつなく使っていて、楽しい。

ギルロイ住宅事情

ところで妹夫婦は今家を売ろうとしている。今の家を売って、市内の外れの、丘の上の緑の多いところに引っ越そうとしている。聞けばその家が9千万円位らしい。大変なことだ。旦那の稼ぎもそれなりにあるが、税で6割くらい持っていかれるので苦しいといっていた。いずれにせよ、良い暮らしには違いない。また、サンノゼ付近は住宅バブルで、どんどん不動産の価値が高沸しているらしい。だから、買ったときの値段よりもずいぶんいい条件で家を売却できるのだそうだ。

散歩

食後散歩に出かけた。車に乗って5分くらいのところの川まで行き、川沿いの道を少しだけ歩く。散歩に行くにも車に乗るあたりがアメリカ風なのだろうか。川沿いの為緑が多く、遠くにも緑の山が見えて、大変に気持ちのよい散歩道だ。実際はサイクリング道を兼ねているらしいが、時間が遅いので自転車は走っていない。もう20時を回っているのだが、あたりはまだ明るく、ようやく西の空が暮れてきたかという程度。少し歩いてまた車に乗って家に戻る。途中近くに最近できたという老人ホームを車上から見る。なかなか広くて施設も大きそう。しかしけっこうな負担をしないと入れないのだろう。引っ越したい家というのは、先ほど散歩中に眺めた山のふもとの方にあるということだった。21時過ぎに家に着き、何のかんのと床についたのが23時過ぎ。本を読んでいるうちにうつらうつらし始めたので、灯りを消して24時就寝。長い一日だった。