蝸牛日記(Pseudomenos版)

嘘ばかりの日記です

探偵小説のためのインヴェンション 「金剋木」(古野まほろ/講談社ノベルス)

★★★半
快調にリリースされるもう一つのまほろワールド「探偵小説のための〜」シリーズ4作目。前作で暴走気味だったコモと保丞の過剰なトークはかなり抑えられ、割合シリアスに本作は進行。様々な過去の作品へのオマージュ、というかパスティーシュ? とでも言うべき本シリーズ、今回はブラムストーカの吸血鬼ドラキュラが下地。吸血鬼ならではの様々な属性を逆手に取った密室ものになっていて、結構楽しめます。本シリーズは「探偵小説の為の」と堂々と掲げるだけあって、設定は十分以上にゼロ年代的(というか、ゼロ年代ですら受け入れない過剰なキャラの立て方)で一般のミステリ読みを遠ざけますが、論理構造はどうして実に本格。このギャップが面白い。余韻は残しつつ饒舌を控えるラストなど、なかなかに秀逸。ただのドタバタでは無い事をアピールして、さて、次巻どうなるか。木火土金水は次巻にて一巡、本編? まほろの物語との絡みも気になる。楽しみです。

探偵小説のためのインヴェンション 「金剋木」 (講談社ノベルス)

探偵小説のためのインヴェンション 「金剋木」 (講談社ノベルス)