蝸牛日記(Pseudomenos版)

嘘ばかりの日記です

NovelJamは終わらない

まだまだ終わらないぞ野辺ジャム。

今回「編集」枠で参加した古田靖さん(カナカナ書房雑誌トルタル主催)がポツポツとNovelJam参加記を書き始めている。

note.mu

NovelJamは2日間という限られた時間の中で小説を仕上げて電子書籍をパブリッシュするというイベント。雑誌「群雛」をリリースしてきたNPO法人日本独立作家同盟が主催する今年から始まった取組みだ。編集枠と作家枠のいずれかで申込み、当日発表される編集担当と作家さんでタッグを組んで作品を仕上げる。書き上がった作品は装丁㌠に装丁して頂いて、今回協賛のBCCKSさんのシステムを利用して電子書籍化。最終的には藤井太洋さんをはじめとする今を旬な作家さんから講評/受賞までされるという、涎もののイベントなのである。

これは実に意欲的な取組みで(現在進行系。来年も開催される予定である)、これまでセルパブといえば「著者」のものだったのを「編集者」という枠組みを入れてきたのが面白いし(「トルタル」「Air」「澪 MIO」おっと「群雛」などの雑誌はあったけど)、そこに新城カズマさん(きゃーっ♡)みたいなプロがしゃしゃしゃって出てきて賞をかっさらっていったのも最高だ。

いわゆる出版は作家、編集、営業(販売)の三位一体で稼働している。このあまりに完成した、悪い言葉でいえば硬直した体制の外側で、かたやインディーズ(いわばFor the rest of “us")によって、かたや絶版や販促の不足に不安・不満をもつ既存作家によって、作家発信の出版=セルフパブリッシングが発達してきた。

このためセルフパブリッシングの「セルフ」部分はほぼ「作家」個人であったわけだけれども、ここへきて編集が視野に入ってきたのは、「群雛」をリリースし続けてきた日本独立作家同盟ならではのことであるだろうし、なによりも良い作品を作っていく上で作家+編集という組み合わせが有効に機能するということが、改めて発見されつつあるようだ。そしてこの発見のリリースが、セルフパブリッシング界隈のセルフメイドなイベントではなく、同盟の名前で開催されることで一つの流れを既存およびインディーの出版に関わる人たちへ提示できたということが凄く楽しい。

今回は新城カズマさんの『原稿は来週水曜までに』(編集賀屋聡子、アートディレクション松野美穂、デザインkasuga、イラストレーション有田満弘)が最優秀賞を受賞し、実力を見せつける形となった(懇親会で審査側の藤井太洋さんから新城カズマさんに「大人げないw」というコメントもあったそうだ)が、セルフパブリッシングの世界では全員がプロフェッショナル。そういう畑で作物育てて売るのよってことで、いわゆるプロとセルパブ作家が同じ舞台にいるのはこれは極めて正しいというか「当たり前」のことでこれもまた凄く楽しいことと僕は感じる。

今回はBCCKSさんからパブリッシュして(講評を得て)完了ということだったが、今後はBCCKSさん含め、完成した作品をどのような形でどこから出すかまで含めて検討するような踏み込み方もあると更に楽しそうだ(時間的な難しさはイベントの作り方で解消出来るはず)。

無料配布するのでなく売る以上、作品が売れることには大きな期待があり意味がある。その「売り」の部分は、今回で言えばBCCKSさんでパブリッシュされた後に現在Kindle等でも販売が始まっていて、この方面の先駆者うめさんが早速上手にツイートしていて、界隈ではNovelJamの第2回戦が始まったと喜びの声も出ている。パブリッシングというのは作品を作って出して終わりではないわけで、これもまた実におもしろい。だって実際売らない版元さん多いじゃない〜(というあたりの話はこれまでもセルパブ界隈ではさんざん話されてたね)、作家さん+編集㌠はガンガン売ればいいよね。ということで、NovelJam第1回は、すぅっと収束せずもっともっとこれからが盛り上がればいい。

初回NovelJamでパブリッシュされた本についてはこちらからドゾ!

bccks.jp

NovelJam