蝸牛日記(Pseudomenos版)

嘘ばかりの日記です

立花隆秘書日記(佐々木千賀子/ポプラ社)

現在進行中。著者は現在は沖縄でドキュメンタリ関係の仕事をされているようだが、本書で語られるのは立花隆というきわめて特殊な人間の秘書をしている間の話。ぱらぱらと順不同で面白そうなセクションを読んでいるが、まず仕事がどう考えても面白い人物の秘書であること、そして著者の文章がまた読ませることもあって、どんどんと読んでしまう。本書の中には、立花氏と仕事をしているいろいろな編集さんが登場するのだが、読めば読むほど自分からは遠いというか、大変な仕事だなぁと感心する。いや、感心している場合ではちっともないのだが。ここのところ、転職がらみで自分のことを以前より少し考える、というか眺めるようになった。この数年間、仕事の忙しさと財布の軽さにかまけて、実にいろいろな、俗にいう文化的な趣味方面を放置していたか、しみじみと感じる。もとより、バイトよりも講義をとるような学生だったし、恋愛にも忙しかったし(というか、恋愛に伴う空間移動に忙しかったし)、財布が潤っていたことのない学生時代だったが、そのさらにむかし高校生の頃から、気になる画家の展覧会には行ったし、本屋にはせっせと通ったし、吉祥寺パルコの写真集のコーナーはほぼ制覇していたし、ちゃんと散歩もしていた。うん、そうした方面の時間が多分10年近くすっぽり抜けてしまっていた。もちろん、それくらいに本質的なことでなかった、ということは言えると思うが、それどころではなかったというのもまた事実だ。旅行にもほとんど行かず、かみさんと映画にもいけず、デートもせず、実になんというかこうして見ると忙しい日々だったのだ。こどもが大切だったというのもある、でも、このままではいかん、という気もしている。これからしばらくまた怒濤のストレスの日々が押し寄せてきそうだが、その向こうに少しは自分のゆとりを見たい。などと思ったりするこのごろ。
しかし、ゆとりなんて言ってたりすると人間すぐ堕落するんだよなー。




立花隆秘書日記
佐々木 千賀子

発売日 2003/03

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