蝸牛日記(Pseudomenos版)

嘘ばかりの日記です

このほしのまん中で(竹内弘真/竹内弘真写真事務所)

中学、高校の時の同級生、竹内弘真が写真家として独立して初の写真集。長い内戦がようやく終わり、立ち直りつつあるアンゴラ。彼はそこの学校を訪ね、子供たちにインタビューを行います。写真集は、このインタビューと写真が一つになった構成で、一人一人の普通の今を、僕たちに伝えます。
今回、とてもうれしいことに写真集の印刷を担当させてもらいました。自費出版なので今のところ書店には並んでいませんが、これから並ぶ可能性は大きい!(と言っておきましょう)。興味のある方は新宿ニコンサロンで9月20日(月)まで開催中の氏の写真展をぜひ訪ねてみて下さい。
http://www.nikon-image.com/jpn/service/salon/exhibition/shinjyuku.htm
このアンゴラの学校を巡るプロジェクトから生まれた「このほしのまん中で」に込められた意味が素晴らしいのです。僕やあなたや、地球に住むすべてに生命は、それぞれに「このほしのまん中」に生きている、というものですが、初めて聞いた時は感動しました。
僕たちは高校のとき、橋口譲二という写真家の「十七歳」という写真集に影響を受けて、そのスタイルを踏襲した卒業アルバムを作ったのですが、その時からずっと、彼の中でその視点が生きていたのだ、と気づきかされました。彼が高校のとき訪ねていったインド、その後訪れたバングラデシュ、そうした土地からのレポート。彼は常に現地の人たちと同じところに立ち、同じ視点で見てみようとしてきたように思います。そこにいる人と向き合い理解しようとしてきた。今回のこの仕事は、彼のこれまでの活動が、実に良い形で結実したものだと思います。気負わず、奇を衒わず、特別視もせず、自然に相手を見ていく、強い、ニュートラルな視線です。
このほしのまん中が、地球に生きるすべての人とともにあるという発見は、絶えずあふれる過剰なニュースから半ば無意識に自分を隔ててきた僕にとって、痛くもあり、嬉しくもあり、写真を通して、そこにも記号や情報でない「にんげん」がいることを、伝えてくれました。
「僕はジャーナリストではない」、と竹内は言い切ります。ジャーナリストが伝えることができなかった、いくつものこのほしのまん中を、これからも伝え続けていってほしいと思います。

・竹内はこのアンゴラの仕事を、日本各地で授業や講演といった形で継続中です。興味のある方があれば連絡を取りますので、clushablebrain@mail.goo.ne.jpまでメールを下さい。

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