蝸牛日記(Pseudomenos版)

嘘ばかりの日記です

卒業アルバム

何を隠そう、中学、高校と卒業アルバムを作る委員をしていた。しかも、高校の時は委員長だった。その高校ヴァージョンのアルバムは、写真家の橋口譲二さんの「十七歳」に激しく影響を受けて僕たちの前年から作りはじめた、「十七歳」フォーマットの大作で、卒業後一年半を経て完成したという、実に実にもったいぶった作品なのである。
しこうして当時頼んでいた印刷屋さんのおっしゃることには最低部数は300部。学年の人数は250人ちょっとで、購入予想者は200人強。ええ、一応赤は出しませんでしたよ。しかし、手元には、そう、強調したい、「僕の」手元には在庫として80数部が残ったのだ。なにせ一辺30cmの正方形のフォーマット。それは大きくまた重いのだ。それが80数部。かれこれ10年保管してきたが、ここ数年預けさせて頂いていた義母のもの入れがついに使えないことになり、今日、引き取ってきました。車の後部座席を倒し、積み上げたる卒業アルバムの山。「業」を山ほど積んだ車ですよ。寝不足の眼で走る深夜の国道15線。自作テープに合わせ大声で歌いながら踊るようにして車を飛ばしていたのはあたしです。ああ、疲れた。しかしどうすんだこの本の山。卒業アルバムってまさに個人情報の宝庫、プライヴァシィの伝導、スキャンダルの泉。捨てられないし売るわけにもいかんし。というわけでシュレッダ検討中。何とも悲しいことですが、日頃出来本を断裁する書店を苦々しく見ていた身としては、よけいに刺さるものがあります。ああ、在庫って、本当に悲しい。