蝸牛日記(Pseudomenos版)

嘘ばかりの日記です

微睡みのセフィロト(冲方 丁/徳間デュアル文庫)

★★★
マルドゥック・スクランブルを読んだばかりなので、感動は薄い。焼き直し? とか思わないでも。黒い月とかね、やっぱりエヴァなのかなぁと思いました。
人類が進化したのか、現れはじめたフォースディメンショナたち。超次元的な力を持つ彼等は、サードディメンショナたる旧人類から迫害され、ついには大きな争いとなる。地球各地の地殻的な変異まで起こしながら、フォースディメンショナの敗退とサードディメンショナの暫定的な世界政府の樹立によって戦争は終り、新たな世紀が始まる。A.J.(アフター・ジャッジメント)17年、政府高官がフォースディメンショナによる<混断>(シュレッディング)にあい、事件が動き出す。
かつての大戦の主導者の娘と、大戦で家族を失い心に大きな傷を負った半不死の捜査官がタッグを組んで犯罪者を追うというストーリィだが、どうしてもパットとボイルドがダブってしまう。作品全体に流れるスピリットとして既出の作品と同じものがあるというのは構わないが、いまいち練りきれていない感じで惜しい。作中のキャラクタはかなり深い業を背負っていて、作品全体がそこを軸に組み立てられているので、その業自体が描ききれていない感じだ。もったいない。もっと力があるはずだぜ冲方!

微睡みのセフィロト
冲方 丁

徳間書店
2002-04
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