夏期限定トロピカルパフェ事件（米澤穂信／創元推理文庫）

★★★半
※毎度のことであるが、ネタバレになるような記述を含む。

なあ、常悟郎。どうだ、これが食わずにいられるか？　食わずにいられんときに、＜金竜＞のタンメン以上のものがこの世にあるか！

本作一番の名台詞は主人公の友人健吾によるもの。はっきり言うが、主人公常悟朗も激甘のトロピカルパフェなど食べている場合ではない。まして取り澄ましてパフェを食えなくなっている場合でもないのだ。常悟朗よ、激辛タンメン大盛りを食え。サービスランチもつけろ。食わずにいられない自分を自覚して、食え。考えずにいられない自分を自覚して、今以上に十分に考えるのだ。主人公二人に足りないのは、小市民足るべくすべき十分な覚悟と矯正ではなく、中途半端な狐狼でなくなるべく努力だ。
と、読後興奮して考えたりした。続きが気になる。次は秋口の刊行か？

夏期限定トロピカルパフェ事件 (創元推理文庫)