蝸牛日記(Pseudomenos版)

嘘ばかりの日記です

アークエンジェル・プロトコル(ライダ・モアハウス著、金子司訳/ハヤカワ文庫)

★★★
SFなのにアメリカ私立探偵作家クラブ賞を受賞してしまった異色作。といっても、内容はいたって古典的なラブロマンスを交えた探偵小説。近未来、社会生活の根幹がネットに移ったアメリカ。そのネットワークに、ある日突如天使が現れる。リンク天使と呼ばれる天使は、信仰を義務付けられた社会で、奇跡として受け入れられる。そのネット(作中ではリンク)から切り離されてしまった主人公が、ミケランジェロ顔負けの美男に、リンク天使の正体を暴くことを依頼される...。てなもう、SFなのか探偵小説なのかはたまたハーレクインなのかってな設定だが、けっこう楽しめる。とはいえ、根本の、リンク天使の信憑性、社会で奇跡として受け入れられたことのリアリティが薄いし、さらには依頼人、というか主人公が直感したとおりに大天使だったそれが、受け入れられるのがまた早すぎ。そこにもっと迷ってくれないと、ちょっと引いてしまうのだけど、この人天使!(はあと)でそのまま進んじゃうのはいかがなものか。あと、書体が下品だな。もう少しレイアウトとか選んで欲しい。
後編がさらに数編あるというので、邦訳に期待。いや、面白いのよ、それなりに。

アークエンジェル・プロトコル (ハヤカワ文庫SF)

アークエンジェル・プロトコル (ハヤカワ文庫SF)