蝸牛日記(Pseudomenos版)

嘘ばかりの日記です

PC故障に対する意識のあれこれ

IT、というかPC好きとそうでない人との故障に対する意識の乖離が激しいと日頃思っている。
たとえば、HDDが壊れてしまった際、とにかく怒る人は後者、前者は比較的冷静だ。長くPCを使っており、かつ、趣味のレベル以上で好きな人は、PCは基本的に壊れるものだと思っている(と思う)。某Bブランドのドライブとか、某S社のノートのヒンジとか、いろいろあるが、とにかく壊れるものは壊れる。それは不可避的にある日いきなり襲いかかってくるので、当然ある程度のバックアップなどはしているものだ。
さらにハードに比べソフトウェアはもっと脆弱である。設定は壊れたり失われるし、書類は保存に失敗したりうっかり消去するし、OSはあまつさえアップデートに失敗して再インストールが必要になったりする。こんなこと、日常茶飯事なので、PC歴が長く、かつ好きな人間には自明な事として仕方ない、M$だからなー、といった程度の認識しかない。
そう、PCに関わるハードもソフトも、いつまでも未完成なものであり、発展途上なのだ。
だから、少々の故障や不具合は当たり前だし、サポートがなっていないのも当たり前だし、クレームつけても不定愁訴ってことではねのけられても(そこまで真剣には)怒らない。
しかし、一般の人は違う。高いコストをかけてPCを導入して、OSがおかしくなったり、IMEが反応しなくなったり、保存したはずのファイルが無くなったり(これは大抵保存先を意識せず保存している事が多い)、HDDがぶっ壊れたり、電源が壊れたり、キーボードにお茶をこぼしたり(これもユーザが悪い)、様々なトラブルに対して真剣に怒り、サポートの悪さに怒り、最終的にPCというどうしようもない(高額な割には)、社会通念からすれば考えられないくらいメーカのサポートの薄い商品に、絶望する。
正直、こんな未完成な商品は他にないのに、それが社会的に認知されていないのはどうしたものかと思う。むしろ一般の人は何でも出来るというイメージの方を強く持っていると思う。
これはメーカの説明不足も大きい。売る為に、きらびやかにあれも出来ます、これも出来ます、これが出来ないとちょっとどうですかねと煽り立てているわりに、故障することや、故障した際の時間的損失への補償がないことを、説明していない。未完成で、ユーザの技術的知識や技術を必要とする商品である事を説明していない。そして、それを十分にサポートしていない。
もう一度書くが、こんな未完成な商品はなかなか無い。技術的にも、文化的にも、文化史上での意義的にも、きわめて中間的な、発展途上な技術なのだ。ガスレンジや掃除機、冷蔵庫というある程度枯れた技術の上に成り立っている商品とは全く異なるものなのだ。PCという括りで扱われているが、実際はハード、サードパーティの後付のハード、OS、アプリ、ネットワービスetc.と異なる技術がコラボレートして成り立っているモノでもある。人が作ってきたモノの中で、圧倒的に人に近いモノである。それ故に、徹底して、未完成だ。
ということが、一般の人には分かっていないし、説明されていない。もっとちゃんと認識されるべきだと思う。こんなに便利で不便な道具はなかなかに無い。