蝸牛日記(Pseudomenos版)

嘘ばかりの日記です

さよならかぐや

月探査機かぐやが月に帰った。
かぐや、という名前は、地球から月軌道を周回するその道程から名付けられたのかと思っていたが、こうして役目を終え、月へ落下されたと知り、このタッチダウンをみこして「かぐや」と名付けたのかと、ふと思った。
かぐやのプロジェクトを知り、アポロ以来の月へのアプローチに心躍らせた。打ち上げが終了し、無事軌道に乗って、ハイビジョンでの地球の出を見て感動した。なによりも、かぐやが月を周回していることが嬉しかった。小惑星イトカワへ赴いた「はやぶさ」もすばらしかったが、個人的にはかぐやに燃えた。いや、萌えていたのかもしれない。
僕の中では、かぐやが月に到達したのはついこの間のことの様に感じられていた。だから、1年半も経っていたということが、なんだか信じられない気持ちだ。その1年半の期間、かぐやが収集したデータはおそらく膨大なものだろうし、今後その解析によって得られる様々な知識は素晴らしいものだと思う。こうした成果を糧に、いつか日本からも、月へと昇ることができる時代が来るのではないかと思うとなんだか胸が熱い。
かぐやは僕たちに夢を見せ、そして本当に月に帰ってしまった。でも、おとぎ話のかぐや姫とは違い、僕たちはかぐやの居場所を知っている。いつか、月面にたたずむかぐやを僕たちの子孫(ひょっとしたら僕たち)が訪れ、僕たちが見た夢に思いを馳せ、その視線の先に地球や、あるいはさらに遠い宇宙をとらえる、そんな日が来るに違いない*1
さよならかぐや。また、会う日まで。

宇宙航空研究開発機構は11日、予定の観測期間を終えた月探査機「かぐや」を、同日午前3時25分、月面に落下させたと発表した。米アポロ計画以来の本格的月探査機として約1年半に及ぶ観測を行ったかぐやは、数々の貴重な観測データや月からの美しい映像を届け、その任務を終えた。

*1:この文章は、会社から、かぐやの落下点を確認せずに書いている。だからといってはなんだが、落下点からの科学的な見地における視野(視界)については全く考慮していない文章であることを許してほしい。