蝸牛日記(Pseudomenos版)

嘘ばかりの日記です

アフターダーク(村上春樹著/講談社)

発売とほぼ同時に入手していたのにもかかわらず、なぜ今読了? 読書に対する欲求に波があって、それがこないと上手に読めない。最近波に乗っていて、本を手放さない毎日だ。先日某ケロケロよりいったいいつ本を読んでいるんだか感心する、というような言葉を頂いたのだが、何のことは無い、通勤時間及び歩行時間である。なにせ幼稚園から始まる長い長い通学→通勤の歴史が僕の読書スタイルを決定付けてしまった。電車で読む、駅から会社、自宅の間で読む、得意先へ行く途中で読む、こうした二ノ宮尊徳スタイルこそ僕の読書スタイルだ。ここ数年はこれに風呂が加わった。不思議なものでこうしたスタイルを身に付けると、家で座って読む、といったようなことがあまりできなくなる。正直歩いているときが一番集中できる。僕の尊敬する編集者、歩くひとりものこと津野海太郎さんの読書スタイルがまさにこれだ。周りからは危険に見えるようだが、そうでもない。周辺視野でそれなりに周囲は把握しているし、周りの好意もあるのだろう、今まで何かにぶつかったことはまだ無い。
とここまで感想を交えずに本書から離れてきてしまった。感想はまたあとで書く。

感想の続き、ていうか感想。
これまでもよく使われてきた主題が変奏されているっていう感じですか。「われわれ」なる打三者の視点を導入しているのだが、これがちょっと気持ち悪い。「われわれ」を語る「われ」が見えない気持ち悪さかな。端役のうまさは相変わらずで、こういう中編をやらせるとそれぞれに光って面白い。抉るような切実さを最近の彼の小説からは感じないけれど、その代わりに安定した楽しさはもらえる、というところだろうか。主人公マリちゃんはちょっと萌えるキャラ。高橋はまるで西村しのぶのマンガにも出てきそうなイメージなのだが、どうか?

アフターダーク

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